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会場の空気が一瞬で緊張を帯びたのを、覚えています。
「クビを覚悟」で本書いた 「明るい社会保障」の震源地
「生活習慣病は自己責任 うやむやはダメ」経産官僚語る
終末期医療、お金かかる論は「素人」 専門家が誤解批判
「江崎さんは人生最後の1カ月で生涯医療費の50%を使うとおっしゃった。これは200%間違いです」
私が居合わせたのは、昨年10月25日、都内で開かれたのシンポジウムでした。まず、予防医療をテーマに経済産業省の江崎禎英さんが講演し、こう話しました。「医療費は死ぬときが一番高い。死ぬ人が多いほど医療費が高くなる。ある健保組合だと、人生最後の1カ月で、生涯医療費の50%以上を使っているというのが、この国の実態です」
二木立・日本福祉大学名誉教授。1947年生まれ。72年、東京医科歯科大卒。病院勤務医を経て、医療経済・政策学の研究者に。日本福祉大学長も務めた
これに対して日本福祉大名誉教授の二木立(にきりゅう)氏が終了後にフロアから発言を求めました。医療経済や政策を45年以上研究している専門家です。「明らかにデマです。死亡前1カ月の医療費が国民医療費ベースで3%強というのは確固たるデータとして確立している」。強い調子で指摘しました。
江崎氏も反論します。このやりとりを機に分析を始めた二木氏に記者が話を聞きました。
これに対して、江崎氏は「私は…