テレビの長寿番組「サザエさん」。父、波平さんは何歳か知っていますか? 実は54歳なんです。朝日新聞で連載が本格的に始まった1950年代の会社員は55歳定年が普通で、その直前という設定でした。そして当時の平均寿命は60歳代でした。それがいまは男性81歳、女性87歳です。100歳以上の人も約7万人います。すごい変化が起きたのです。
「クビを覚悟」で本書いた 「明るい社会保障」の震源地
「生活習慣病は自己責任 うやむやはダメ」経産官僚語る
終末期医療費かさむ「200%間違い」 ひどさに指摘が
日本は、少子化で人口が減り、高齢者が増えています。若者が少なくなり、お年寄りが引退して働く人が少なくなると経済にとっては厳しいです。なんとかするには、年をとっても健康を保ち、できるだけ長く「社会を支える側」でいてもらいたい。その意味でも、「健康寿命を延ばす」ことはとても大切です。何よりも人々が少しでも長く健康な人生を送れることは素晴らしいことです。
確かに、健康管理や予防は、誰も反対しない「よいこと」です。政府は、「ドンドン進めよう」とギアを入れています。そんな時にこそ、少し立ち止まって考えたいのです。「健康大国」になるのは大いに結構。でも、一つ間違えば、生きづらくて、窮屈な「健康帝国」になりはしませんか、と。三つのポイントで整理してみました。
(1)プライバシーを差し出す?
(2)自己責任論が強化される?
(3)社会保障見直しが先送りされる?
子どもの時からデータ提供?
予防医療のことを調べていて、衝撃的な本に出会いました。国際的なコンサルティング会社、「アクセンチュア」のコンサルタントが書いた「ヘルスケア産業のデジタル経営革命」です。そのなかで、こんな未来予測が出てきます。
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小学校入学と同時に生命保険会社と契約し、シート状のウェアラブル端末を下着に貼り付ける。集められた生体情報は、政府のシステムで一元管理される。規則正しい健康的な生活を送れば、大人になったとき医療保険の保険料が格段に安くなる。このようなインセンティブによって、健康的な生活を推奨するのは、国による健康増進・医療費削減施策の一環だ。
集められた子どもたちのデータ…