大阪市生野区で昨年2月、てんかん発作で重機を暴走させ、児童ら5人を死傷させたとして自動車運転死傷処罰法違反(危険運転致死傷)罪などに問われた鉄筋工の佐野拓哉被告(36)に対する判決が6日、大阪地裁であった。渡部市郎裁判長は争点だった事故当時のてんかん発作を認定し、懲役7年(求刑懲役10年)を言い渡した。
判決によると、佐野被告は昨年2月1日夕、てんかん発作で運転に支障がでる恐れがあるのに、生野区の工事現場で重機を運転。発作で意識を失い、歩道にいた大阪府立生野聴覚支援学校小学部5年の井出安優香(あゆか)さん(当時11)をはねて死亡させ、同級生や教諭4人に重傷を負わせた。また2015年11月、過去5年間に発作で意識を失ったことがあったのに、それを隠して運転免許証を更新した。
被告が事故当時にてんかん発作を起こしていたかが争点だったが、判決は、重機が前進を開始してから止まるまで10秒間にわたってアクセルが踏まれ続けていたと指摘。ペダルから足を離したり、ハンドルを反対側に切ったりするなど容易にできる回避行動をとっていなかったことから、被告に意識がなかったことが強く推認されると結論づけ、「運転ミス」とする弁護側主張を退けた。
そのうえで量刑について「11歳の幼い命が絶たれ、4人に重傷を負わせた結果は誠に重大だ」と述べ、被告が医師や家族から再三注意されていたにもかかわらず運転を続けたことは「発作が起きる危険性を軽視したもので厳しい非難に値する。(てんかん発作を否定した)供述からは真摯(しんし)な反省が示されているとは評価できない」とした。(大貫聡子、多鹿ちなみ)