福井県警は7日、車の運転に支障を及ぼす恐れのある履物や衣服の着用を禁じた県道路交通法施行細則を県公安委員会が改正し、衣服の規定を削除すると発表した。昨年9月に僧衣で車を運転していた僧侶に対し、交通反則切符(青切符)を切った根拠だったが、「運転者にとって禁止の対象が分かりにくく、違反の立証も難しい」と説明した。
県警交通企画課によると、現行の施行細則にある「下駄(げた)、スリッパその他運転操作に支障を及ぼすおそれのある履物または衣服を着用して車両を運転しないこと」との規定から、「または衣服」の部分を削除する。県警の提案で県公安委員会が7日に決めた。施行は4月4日の予定だ。
青切符を切られた男性僧侶は反則金6千円の支払いを拒否していたが、県警は今年1月、証拠の確保が不十分だったことを理由に書類送検しない方針を決め、僧侶に伝えていた。
僧侶は「規則が変わったのは、本願寺派やSNSで声を上げてくれた僧侶、みなさんの力が大きい。条例ができてから時間が経ち、時代に合っていない部分が置き去りにされていたことがわかった。衣服についての文言がなくなっても、より気を引き締め、今まで以上に安全運転に徹していかなければならないと思っている」と話した。
1月時点では、福井のほかに岩手、愛知など14県の公安委員会が、運転手の順守事項に衣服の規定を設けていた。