関西電力の岩根茂樹社長は26日、福井県の西川一誠知事に対し、原発で使い終えた核燃料を一時的に保管する中間貯蔵施設の候補地について、約束した年内に示せないことを伝え、陳謝した。早期に候補地を選び、2020年頃には建設場所を確定させる計画だ。
県庁を訪れた岩根社長は、複数の地域と交渉中だと説明。「進展している手応えを感じているが、今後の調整や交渉の支障になりかねない。具体的な地点を示すのは控えたい。おわびします」と頭を下げた。西川知事は「県民の信頼に関わり、大変残念だ。社長の最優先の仕事と考えて頂きたい」と応じた。
関電は福井県に3原発(美浜、高浜、大飯)を持つ。中間貯蔵施設の候補地探しを「最大の経営課題」としてきたが、有力とされる青森県むつ市の理解が得られなかったとみられる。
福井県は長年、使用済み核燃料を県外に運び出すよう求めてきた。昨年、大飯3、4号機(おおい町)の再稼働に向けた地元手続きの際、岩根社長が中間貯蔵施設の候補地を「18年中に示す」と明言したことが、西川知事の同意につながった経緯がある。
約束が守れず、関電が19年秋から20年春の再稼働をめざす高浜1、2号機(高浜町)、美浜3号機(美浜町)の地元同意にも影響を与える可能性がある。
中間貯蔵施設が必要とされるのは、原発内の燃料プールの貯蔵容量が限界に近づいているためだ。再稼働した高浜3、4号機は約6年、大飯3、4号機は約9年で燃料プールが満杯になる見込み。使用済み核燃料の行き場がなくなれば、原発自体を動かせない状況にもなり得る。(西尾邦明、堀川敬部)