北海道白老町の道央自動車道で2013年、小型バスを横転させて乗客13人にけがを負わせたとして、自動車運転過失傷害の罪に問われた運転手の男性(60)の判決公判が11日、札幌地裁室蘭支部であった。五十嵐浩介裁判長は車体の部品が壊れていたために事故が起きた可能性を指摘し、「被告人に過失は認められない」として無罪(求刑禁錮10カ月)を言い渡した。
13年8月26日に発生した事故では、バスが道央道の中央分離帯に衝突してから横転した。男性は前方を注視せず、的確なハンドルやブレーキの操作を怠ったとして、15年9月に在宅起訴された。
バスは三菱ふそうトラック・バス社製で、事故後には緩衝装置を車体に固定する金属部品「センターメンバー」が破損していたことが判明。弁護側は、走行中に部品が破損してハンドル操作がきかなくなり、事故が起きたと主張。事故原因は破損にあり、男性に過失はないとして無罪を訴えていた。
一方、検察側は、安定的なハンドル操作が困難になるほどの破損ではなかったと主張。その後、「異常に気づいたのに、直ちに停車させなかった過失がある」という訴因も予備的に追加し、ハンドル操作が困難な場合でも、異常を感じてすぐにブレーキを踏めば安全に停車することができたはずだとしていた。
同社製のバスをめぐっては、13~15年、別の型式でセンターメンバーの破損が原因の人身事故が3件発生した。同社は17年にリコールをしたが、道央道の事故車両の型式は対象になっていない。(布田一樹、三上修)