北海道七飯(ななえ)町のJR函館線で2013年9月に起きた貨物列車の脱線事故で、改ざんされたレールの検査データを国に報告したなどとして、鉄道事業法違反などの罪に問われたJR北海道と当時の工務部副部長、奥芝義人被告(56)ら元幹部3人に対する判決公判が6日、札幌簡裁であった。
結城真一郎裁判官は、同社を求刑通り罰金100万円とし、奥芝被告と、いずれも工務部保線課担当課長だった小沢広一(54)と林孝幸(58)の両被告の3人に無罪(求刑罰金20万~40万円)を言い渡した。同社は、同法などの両罰規定で起訴されていた。
3人は事故後、現場社員らと共謀し、脱線箇所付近のレールの横ずれの大きさが75ミリから42ミリに書き換えられた検査データを国に提出し、虚偽の報告をしたなどとして起訴された。
同社は現場社員によるデータ改ざんを認める一方、幹部3人について「改ざんの認識はなく、現場社員との間に共謀もなかった」と無罪を主張していた。
判決で、結城裁判官は「被告らの執務状況からすると、数値の変化が不合理だと気づいたとは認められない」として改ざんの認識があったとは認めなかった。一方、同社については「多数の従業員に、複数回にわたりうその報告をさせた責任は重い」と指摘した。
事故は函館線大沼駅構内で発生し、18両編成の貨物列車のうち4両が脱線。国の運輸安全委員会は、保線部署がレールの異常を放置していたと指摘していた。事故後、レールの異常放置やデータ改ざんなどが相次いで発覚。安全対策の負担が増し、その後の路線網縮小の動きにつながった。