西日本鉄道(福岡市)の新しい観光列車「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO(ザ・レール・キッチン・チクゴ)」が23日から運行を始める。通勤用の電車だった6050形の外装を、キッチンクロスを意識した赤と白のチェック柄に変えた。調度品や料理の食材は地元・福岡県のものにこだわり、「地域に愛される列車」を目指す。
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西鉄の本格的な観光列車は初めて。11日に関係者の試乗会があった。天神大牟田線の西鉄福岡(天神)駅から大牟田駅まで、福岡県内約2時間半の行程を体験してみた。
まず目を引かれるのは明るく開放的な車内。八女市の竹細工が天井にあしらわれ、大きな窓から光が差し込む。
家具の街・大川市のテーブルとイスや、久留米市の城島瓦(じょうじまがわら)を使った壁タイルなど工芸品がいたるところにちりばめられていた。
列車は3両編成で52席。2両目の座席に座ると、列車の中心にすえられた大型のオープンキッチンから調理の音が聞こえてくる。
福岡県のブランドイチゴ「あまおう」を使ったというスパークリングワインをかたむけていると、ただよってくる香ばしい匂いが食欲を刺激する。
蒸しアスパラガスや、キノコの新品種「王(おう)リンギ」のバターソテーなど、大木町や八女市の食材を使った料理が出てくる。
発車から1時間ほどが経つと、車窓から見える景色が変わった。建物の高さが低くなり、田んぼが目立ち始める。
そのころからタケノコやアスパラガスを使ったピザが運ばれてきた。車中のキッチンの窯で焼かれたものだ。途中で沿道から保育園の園児が手を振るうれしいサプライズもあった。
九州では30年前からJR九州が多くの観光列車を走らせてきた。最近では第3セクターも地元の振興につなげるため観光列車を投入している。観光列車の差別化がますます難しくなっている。
そういう中で西鉄がこだわったのが「地元」。倉富純男社長は、JR九州の豪華寝台列車を引き合いに、「ななつ星に比べれば0・1つ星くらい」と笑いつつも、「地元のものにこだわって、沿線に末永く愛される列車にしたい」と話す。
運行は金土日と祝日のみ。西鉄福岡(天神)―大牟田間の旅はランチ、ディナーとも税込み8640円。6月には天神―太宰府間を走るブランチの旅も同3240円で始める。予約は西鉄のホームページ(
https://www.railkitchen.jp/
)のみで行っている。3、4月は予約でほぼ満席だという。(女屋泰之)