米ブルームバーグ通信は、トランプ米政権が日本やドイツなどの駐留米軍の受け入れ国に対し、駐留経費負担の5割以上の増額を要求することを検討していると伝えた。2021年4月以降の日本側負担を決める日米協議は来年にもある見通しで、米側が日本側に駐留経費負担の大幅増を要求する可能性がある。
在韓米軍経費、韓国負担の大幅増で仮署名 日本に影響か
同通信が8日、複数の米政府当局者の話として伝えたところによると、米政権は「コスト(経費)プラス50」計画と名付け、受け入れ国にこれまで負担を求めていなかった米兵の給与のほか、空母や潜水艦の寄港の経費を求めることを検討。現在の駐留経費負担の5~6倍に当たる金額を要求される国も出てくる可能性があるという。
すでに国防総省当局者らは、受け入れ国側がいくら支払うべきか、米国との緊密度合いに応じていくら割引するかなどを計算するよう求められているという。
トランプ大統領は就任前から「米国が防衛する国々に相応の負担を求める」と繰り返し、就任後は韓国など同盟国に駐留経費負担の増額を強く迫った。今年1月に国防総省で演説した際も「我々は多くのとてもお金持ちの国々を守っている」と不満を示し、同盟国側の「相応の負担」を求めた。
日本は在日米軍の駐留経費を年約2千億円負担し、他の受け入れ国より負担割合は高い。だが、トランプ氏は16年大統領選の期間中、日本が駐留経費を全額負担しなければ米軍撤退もありえると示唆した。
現在の在日米軍の駐留経費負担を定めた日米間の特別協定はオバマ前政権下の15年に合意し、21年3月末で期限が切れる。来年には日米間で駐留経費負担の改定協議がある見込みだ。ある日米関係筋は「トランプ氏は最も関心の高い貿易問題のディール(取引)を有利に進めるため、貿易問題と駐留経費の増額問題を絡めてくるのではないか」とみる。(ワシントン=園田耕司)