昨年、交通死亡事故を起こした75歳以上の運転者の49・3%が、事故の前の認知機能検査で認知症や認知機能低下のおそれがあると判定されていた。昨年に検査を受けた75歳以上全体でみると、この割合は27・1%で、死亡事故を起こした人のほうがかなり高い。
警察庁が18日発表した。2017年とほぼ同じ結果で、警察庁は「認知機能の低下が死亡事故発生に何らかの形で影響している」としている。
75歳以上の運転者は運転免許更新時に加え、逆走など特定の違反をした時に認知機能検査が義務づけられている。「認知症のおそれがある」第1分類、「認知機能低下のおそれがある」第2分類、「機能低下のおそれがない」第3分類のいずれかに判定され、第1分類は医師の診断が必要だ。
昨年に死亡事故を起こした75歳以上の460人のうち、更新時74歳以下だったなどで検査を受けていなかった人を除いた414人の結果は、第1分類が20人(4・8%)、第2分類が184人(44・4%)、第3分類が210人(50・7%)だった。第1分類20人のうち3人は、検査後に免許を自主返納したり失効させたりしたにもかかわらず運転していたという。
これに対し、昨年検査を受けた75歳以上は全体で約216万5千人で、このうち第1分類は2・5%、第2分類は24・5%、第3分類が73・0%だった。
死亡事故を起こした75歳以上は年間400人台で推移。17年は減ったものの、昨年は42人増えた。
警察庁は、認知機能だけでなく、身体機能の低下も事故に結びつく可能性があるとして、免許更新時に車を実際に運転する試験の導入の可否など、対策の在り方を検討している。(編集委員・吉田伸八)