福岡県春日市の歯科医院で2017年7月、虫歯治療のため麻酔を注射された山口叶愛(のあ)ちゃん(当時2)の容体が急変して死亡した事故で、県警は7日にも、50代の元院長を業務上過失致死の疑いで書類送検する。捜査関係者への取材でわかった。
歯科麻酔、2歳死亡 両親「寝てるだけと手当てされず」
捜査関係者らによると、叶愛ちゃんは17年7月1日、虫歯治療で口内の複数箇所に麻酔薬の注射を受けた後に容体が急変。この際、元院長は救急車を呼ぶなど救護措置を尽くさなかった結果、叶愛ちゃんを2日後に麻酔中毒による低酸素脳症で死亡させた疑いがあるという。
両親によると、治療後の叶愛ちゃんは呼びかけにも応じず、激しいけいれんを起こしていた。両親に連れられて大学病院などで治療を受けたが、意識は戻らずに亡くなったという。
県警は叶愛ちゃんを司法解剖して死因を調べる一方、容体が急変した際の医院側の対応や投与した麻酔の量が適正だったかなどを調べていた。
医院側は昨年夏の朝日新聞の取材に対し、容体急変後の状況について、「脈拍計測や目視の上で緊急な対応を要する状況ではなかった」と説明していた。医院は昨年8月末に閉院した。(菅原普)