竹田氏がJOC会長を退いても、東京招致に絡む贈賄疑惑が晴れるわけではない。
そもそも五輪招致疑惑の構図とは?
JOC竹田恒和会長、退任の意思 五輪招致で買収疑惑
疑惑の対象となっているのは、東京の招致委員会が2013年9月に招致が決まる前後の7月と10月、シンガポールのコンサルタント会社「ブラック・タイディングズ(BT)社」に支払った約2億3千万円の契約だ。仏司法当局はその一部が汚職や資金洗浄に使われた可能性を追及する。
竹田氏は19日も改めて「潔白を証明したい」と繰り返したが、周囲の見解は様々だ。「理事長として決裁した責任はあるが、贈賄と認識していたとは思えない」と話す関係者は多いが、「(最初の)契約の判子を押したのは竹田さんら4人だけ。招致活動の大詰めで2億円を出すことの意味はわかっていたはず」と指摘する招致委関係者もいる。
16年にJOCの調査チームがまとめた報告書によると、BT社との契約について招致委幹部を後押ししたのは、広告会社電通の関係者だ。決裁には竹田氏のほか、招致委に出向していた文部科学省や外務省の官僚、都庁の役人も関わったという。官民を含む「オールジャパン」で承認した契約なのだ。
16年の報告書は、海外の主な関係者からヒアリングできないまま出したもので、あるJOC理事は「調査チームの報告書はずさんだった」と認める。
JOCは速やかに再調査し、全容解明への姿勢を示すべきだ。会長退任を幕引きとしてはいけない。(野村周平)