米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画を巡り、玉城デニー知事は19日、首相官邸で安倍晋三首相と会談した。県が国を相手取った訴訟を取り下げる意向を伝え、25日にも始まる新たな区域への土砂投入の中止と、1カ月程度の話し合いの期間を設けるよう求めたが、首相は応じなかった。
沖縄県民投票、辺野古埋め立て「反対」が7割
取り下げるのは、県の岩礁破砕許可を得ずに国が辺野古の工事を進めているのは違法と訴えた裁判。一、二審は県が敗訴し、最高裁に上告している。玉城氏は取り下げる理由を「対話のための環境作りに努めたい」と説明した。
玉城氏によると、県民投票後に抗議集会があったことなども伝え、1カ月程度土砂投入を中断して話し合いをするよう求めた。だが、首相は「普天間の危険性除去のための辺野古移設は様々な協議を経て進めている。折を見て話し合いはしたい」と述べ、工事を続ける意向を示したという。
県は、埋め立て承認撤回の効力を政府が停止したのは違法と「国地方係争処理委員会」に申し出たが、2月に却下された。不服とする場合、政府を相手に訴訟を起こせるが、玉城氏は「首相の対応次第だ」と述べた。(山下龍一)