詐欺事件の主犯格とされる被告が保釈中に、海外へ逃亡したとみられることが19日、わかった。東京地裁の公判では懲役10年を求刑され、判決言い渡しを受ける予定だった。検察側は600万円の保釈保証金を没収するよう、地裁に求めた。
逃亡したとみられるのは、「グルメンピック」と称する飲食イベントの出店料名目で計約5200万円をだまし取ったとして、詐欺罪に問われている東京都足立区、無職田辺智晃被告(43)。2017年6月に逮捕され、被告人質問が終わった後の18年11月に保釈された。海外渡航する場合は裁判所の許可を得ることが保釈条件の一つだった。
公判は同年12月に結審し、今月14日に判決期日が指定されていたが、田辺被告が出廷しなかったために延期された。再指定された19日も、田辺被告は現れなかった。弁護人によると、判決予定日の直前になって連絡が取れなくなったという。関係者によると、海外に出国したとみられる。
検察側は田辺被告を詐欺グループの主犯格とみており、幹部は「保釈を許した地裁の判断が問題だ。弁護人にも責任がある」と批判している。
保釈された被告が正当な理由なく裁判に出なかったり逃亡したりした場合、裁判所は検察官の請求や自身の判断で保釈を取り消すことができる。その際は、保釈金の全部か一部が没収される。