公立福生(ふっさ)病院(東京都福生市)の人工透析治療をめぐり、透析の専門医らで作る日本透析医学会(理事長=中元秀友・埼玉医科大教授)は25日、透析治療の中止を検討するための提言を今年中に見直す方針を明らかにした。より具体的な手続きなどを盛り込んだガイドラインをつくるという。
学会のホームページで公表した。それによると、ガイドラインには、患者が家族、医療者らと、人生の最終段階(終末期)の医療やケアについて、事前に何度も話し合いを重ねて意思を決めていくことの重要性やその手順を記載する。終末期ではない患者の意思決定過程のあり方についても盛り込むという。
学会が2014年に示した提言は、透析中止を検討する対象を重い合併症などのある終末期の患者らに限定。一方、昨年厚生労働省が終末期に患者本人が望む医療やケアを受けられるようにするための指針を改訂した。福生病院で透析をしないことを選んで亡くなった女性(当時44)の事例も受け、学会も作成委員会をつくり提言を見直すことにした。
福生病院の件について、学会は調査は病院側からの依頼によるものだったと明らかにした。都の調査では、福生病院は女性を含めて透析を始めなかったり、中止したりした患者21人が亡くなったことが判明している。学会はさらに調査、検討を続け、5月中に調査委員会の報告と合わせて、理事会として声明を発表する予定という。