2017年8月に長崎県平戸市沖で海砂を積んでいた作業船2隻が沈没して3人が死亡した事故で、国の運輸安全委員会は28日、船内に多量の水がたまって横転した可能性が高いとする調査報告書を公表した。
沈没したのは、海で採取した砂(2600立方メートル)を積んでいた「台船」(約1300トン)とそれを押す「押し船」(98トン)。事故当時は沖に停泊中で、プールのような設備にためた砂を水に浸し、塩分を抜く作業をしていた。台船には船長ら5人、押し船に乗組員1人が乗っていた。
報告書によると、砂を積んだ設備の下側には、作業後の水を船外に出す排水溝や砂を運ぶためのベルトコンベヤーのある幅約13メートル長さ数十メートルにもなる広いスペースがあった。未明になって、ここに多量の水がたまっているのに乗組員の1人が気づいてポンプで排水したが、船首右側が傾き続け、約30分後に横転したという。
報告書は、除塩作業によって船首側が沈んでいたことや、事故前日に船の右前側にある排水溝で少量の水漏れが見つかっていたことを指摘。漏れた水が船首右側にたまって船が傾いた可能性が高いとしたが、水が多量にたまった詳しい経緯の詳細は、船が引き揚げられていないことを理由に「明らかにできなかった」と結論づけた。(贄川俊)