ロンドンの英議会前で2016年6月、EU離脱の是非を問う国民投票で離脱が決まり、喜ぶ議員ら=ロイター
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イギリスが欧州連合(EU)から抜ける「ブレグジット」は、当初の予定日だった3月29日を過ぎました。ところが、英議会は離脱のやり方を決められず、経済や市民生活に大混乱を引き起こす「合意なき離脱」が現実味を帯びてきました。いったい何が起きているのか、理解に役立つオススメ記事を紹介します。
最新の状況は?
ロンドンのトラファルガー広場で2016年6月、EUからの離脱をめぐる国民投票のやり直しを訴える若者たち=高久潤撮影
EUとメイ政権の間では、離脱のやり方で既に合意ができています。ところが、この協定案を英議会が承認しません。
メイ首相は内容を少しずつ変え、これまでに3回、採決をはかりました。しかし、議会はいずれも拒否。打開策が見えない状況です。
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そもそもどんな話?
ロンドンのトラファルガー広場で2017年9月にあった、EU残留を求める集会=津阪直樹撮影
EUが英国経済の足を引っ張っている、東欧などからの移民労働者に職を奪われている――そんな不安が広がり、2016年6月に国民投票をした結果、EUからの離脱が決まりました。
ところが、それから2年半が過ぎたのに、どんな条件で離脱するのかも決まらないありさまです。
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解決策はある?
ノルウェーの最大野党・労働党の国会議員でEFTA・EEAの委員会の議会代表を務めるスバイン・ルオルド・ハンソンさん=2018年12月、オスロ、下司佳代子撮影
英国で一部の政治家が「現実的な落としどころかも」と考え始めているのが、北欧のノルウェーのようなあり方です。EUに加盟はしないが、輸出入には関税がかからず、緊密な関係を持っています。ただ、そのまま英国に導入するのは、課題も多いようです。
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日本にどう影響する?
英サンダーランドにある日産の工場=2019年2月7日、下司佳代子撮影
ホンダが英国にある工場を閉鎖することが明らかになりました。他にも、日産が次期モデルの生産撤回を表明。パナソニックは英国にあった欧州統括会社をオランダに移転しました。離脱をめぐる混乱は、英国に拠点を置く日系企業の戦略見直しにつながっています。
また、もしEUとの合意なしに離脱を強行することになれば、世界中の経済が大混乱に陥る可能性が極めて高く、日本への波及は避けられません。
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歴史的にどんな意味がある?
英リーズ大学教授のエイドリアン・ファベルさん
英国は2000年代まで、米国型の多民族国家を目指していました。英国の社会学者エイドリアン・ファベル氏は、生活と政治の溝が深まったことが離脱のきっかけになったと指摘。また、「移民受け入れ大国だった英国と、移民を受け入れてこなかった日本とが、いま同じ状況に置かれている」とも話します。
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(今さら聞けない世界)