日本経済新聞社の社員約3千人分の賃金データなどを外部に漏らしたとして、警視庁は元同社員の男性(54)を不正競争防止法違反の疑いで書類送検した。捜査関係者への取材でわかった。容疑を認めているという。送検は3月28日付。
捜査関係者によると、元社員は同社のデジタル販売局員だった2012年10月、社内で別部署の社員の業務用パソコンを分解してハードディスクを抜き取り、私有パソコンに社員約3千人分の基準内賃金などのデータを転送。17年12月、このデータを月刊紙を発行する団体に郵送した疑いがある。団体のブログにデータの一部が掲載され、発覚した。
日経新聞社は昨年6月、元社員を懲戒解雇し、警視庁に告訴。同社は昨年7月の朝日新聞の取材に対し、元社員は社内調査に「働き方改革を掲げながらサービス残業をさせているのはおかしいという義憤にかられた」などと話したと説明したうえで「残業代は払っており、事実誤認」と説明していた。同社は2日、「捜査中のためコメントは差し控える」とした。