東京地検特捜部は4日朝、日産自動車の前会長カルロス・ゴーン容疑者(65)を会社法違反(特別背任)容疑で再逮捕し、発表した。中東オマーンの日産販売代理店に送金した約5億6300万円の日産資金を自らに還流させて、日産に損害を与えた疑いがある。
カルロス・ゴーン もたらした光と影
前会長の逮捕は4回目。特捜部の係官は同日朝、ゴーン前会長の東京都内の住居に入り、同行を求めた。ゴーン会長は米国の代理人を通じて「逮捕は言語道断で恣意(しい)的だ」「容疑に根拠はなく無実だ」と反論するコメントを出した。
前会長は特別背任罪で1月に起訴された後、逮捕から108日目の3月6日に保釈された。保釈後は指定された都内の住居で生活。3日にはツイッターに自身のアカウントを開設し、11日に記者会見を開くと表明していた。
特捜部の発表などによると、ゴーン前会長は2015年12月から18年7月までの間、日産子会社の「中東日産」(アラブ首長国連邦)からオマーンの販売代理店「スヘイル・バウワン・オートモービルズ」(SBA)に計1500万ドル(当時のレートで約16億9800万円)を送金させ、うち計500万ドル(同約5億6300万円)を自らに還流させた疑いがある。
SBAに送金した資金の原資はCEO(最高経営責任者)直轄の「CEOリザーブ(予備費)」で、「販売促進費」名目で支出された。関係者によると、前会長は「送金は奨励金で、問題ない」と主張していた。
SBAのオーナー、スヘイル・バウワン氏はゴーン前会長の長年の友人。関係者によると、中東日産からSBAに送金された資金は、SBAのインド人幹部が大株主であるレバノンの「GFI」社に送金されていた。GFIは15~18年、前会長の息子が米国で起業した会社に計2750万ドル(現在のレートで約30億円)を資金援助するなどしていたという。GFIにはルノーからも多額の不透明な支払いがあったという。
ゴーン前会長は08年10月、…