若い白血病患者に子が授かる希望を――。NPO法人「全国骨髄バンク推進連絡協議会」は4日、治療後に子を授かる可能性を残すための費用を補助するため、1千万円の寄付を募り始めた。公的保険が適用されない精子や卵子の凍結保存費用に充ててもらう。高額だからと保存をあきらめる患者もいるといい、協議会は協力を呼びかけている。
抗がん剤や放射線治療を受けると、男女ともに生殖機能が影響を受け、子どもを授かれなくなる恐れがある。協議会によると、卵子凍結にかかる費用は15万~45万円。精子凍結は2万~7万円で全額自己負担。いずれも毎年、保存料が数万円かかるという。独自に補助する自治体は岐阜県など六つにとどまる。
協議会は、2013年から寄付を元にのべ86人に計812万円を補助してきたが、資金が尽きたという。継続のため、6月3日までクラウドファンディングで資金を募る。補助する対象は、白血病などの血液難病患者を想定する。
協議会はこの日、都内で記者会見をした。大谷貴子顧問は「若い患者にとって、妊よう性(妊娠する力)の温存は大きな問題だ。国にも経済的支援を求めていきたい」と話した。白血病を経験した男性(42)は、治療前に精子を凍結保存し、現在3人の娘がいる。保存には計60万円かかったという。男性は「治療だけでもお金がかかるため、経済的負担は大きい。妊よう性温存についてもっと多くの人に知ってもらいたい」と話した。骨髄移植前に卵子を保存し、現在1人の娘がいる女性(49)は「つらい治療のときに、将来子どもを産めるかもしれないということが大きな希望になった」と話した。
詳細は、クラウドファンディングサイト「Readyfor」(
https://readyfor.jp/projects/marrow
)へ。(黒田壮吉)