「私は忖度(そんたく)します」――。道路事業をめぐって、そう発言した塚田一郎国土交通副大臣が5日、辞任した。発言が事実であれば公正な行政をゆがめたことになりかねず、発言がウソであれば有権者をだましたことになり、退路が断たれた格好だ。忖度が疑われる事案が相次ぎ、「国民の不信が続く」と懸念の声も上がる。
「安倍1強なら辞めずに済む」 盟友気遣い判断遅れたか
5日午前11時半すぎ、東京・霞が関の国土交通省。副大臣室がある4階のエレベーターホールで、塚田氏は集まった記者やカメラを前に深々と頭を下げた。問題の発言をしてから4日後。国土交通副大臣の辞意を明らかにし、約25分間、報道陣の質問に神妙な面持ちで応じた。
忖度したのかを問われ、繰り返し「事実と異なる発言をした」と弁明した。ただ、発言した当時の認識を聞かれると、「そのときは事実と異なる認識ではなかった」。当時は事実だと思っての発言だったとし、「改めて確認して気づき、撤回をした」と説明した。
北九州市であった1日の集会で、塚田氏は、国交副大臣の立場にある自身が安倍晋三首相や麻生太郎副総理に「忖度」し、事業の調査を「国直轄に引き上げた」と語っていた。ところが「利益誘導を認めた」などと報道されると、すぐに発言を撤回。国会では野党から「事実じゃないことを選挙の応援で言ったというのは、有権者をばかにしているのか」と批判を浴びていた。
「忖度した」とすれば行政をゆ…