日産自動車の前会長カルロス・ゴーン容疑者(65)がオマーンの販売代理店に日産資金を不正に支出して私的に流用したという会社法違反(特別背任)事件で、東京地裁は5日、ゴーン前会長の勾留を決定した。勾留は10日間で、期限は14日。弁護側は5日、決定を不服として準抗告したが、地裁はこれを棄却した。
ゴーン前会長は1月に特別背任の罪などで追起訴され、最初の逮捕から108日目の3月6日に保釈された。保釈後は地裁が定めた東京都内の住居に滞在。今月3日には、11日に記者会見を開くとツイッターを通じて公表したが、翌4日に再逮捕されていた。前会長は「容疑に根拠はなく無実だ」などと主張している。
特捜部などによると、ゴーン前会長は2015年12月~18年7月、日産子会社「中東日産」(アラブ首長国連邦)からオマーンの販売代理店「スヘイル・バウワン・オートモービルズ」(SBA)に計1500万ドル(当時のレートで約16億9800万円)を送金。うち計500万ドル(同約5億6300万円)を、自らが実質的に保有するレバノンの投資会社「GFI」に還流させた疑いがある。
SBAのオーナー、スヘイル・バウワン氏はゴーン前会長の長年の友人で、GFIの大株主にはSBAのインド人幹部が名前を連ねている。GFIは15~18年、前会長の息子が米国で起業した会社に計2750万ドル(現在のレートで約30億円)を資金援助していたという。