日産自動車の前会長カルロス・ゴーン容疑者の妻、キャロルさんが日本を出国し、パリに6日に着いていたことがわかった。ゴーン前会長が公正な裁判を日本で受けられるよう、仏政府に支援を求めるという。7日の仏日曜紙「ジュルナル・デュ・ディマンシュ」がキャロルさんのインタビューを掲載した。
カルロス・ゴーン もたらした光と影
ゴーン前会長の妻に検察が聴取要請 応じず仏に出国
ゴーン前会長が4日に東京地検特捜部に再逮捕された際、一緒にいたキャロルさんはレバノンの旅券を押収されたが、押収されなかった米国の旅券を使って出国したという。
キャロルさんは、ゴーン前会長について「みんなに見限られている」と語った。以前、マクロン仏大統領に手紙を書いた際は「ゴーン前会長のためにできることはすべてする」と返事が来たが、その後マクロン氏の側近に連絡を取ろうとしても、音沙汰がないという。フランスの支援を「受けていない」と感じるとして、マクロン氏に改めて支援を訴えるという。
ゴーン前会長は再逮捕前、事件について英語で説明したビデオを撮影しており、「まもなく公開されるだろう」とも語った。
ゴーン前会長について「メディアではすでに有罪扱いされ、傲慢(ごうまん)な金の亡者のように伝えられているが、正反対の人間だ」ともこぼした。夫妻が知り合った際、ゴーン前会長は「君にわくわくするような人生を捧げよう」と語ったといい、再逮捕の直前にはゴーン前会長が「こうしたたぐいの冒険ごとを考えていたわけではなかった」とほほえみながら謝ったことも明かした。
ルドリアン仏外相は5日、フランスで開かれた主要7カ国(G7)外相会合に出席した河野太郎外相と5日に会談した際、ゴーン前会長について「フランスは推定無罪の原則を大切にし、総領事館が自国民をきちんと保護できることが大事だと考えている」と伝えた。「フランスは日本の司法の独立と主権を完全に尊重する」とも言及したという。6日のG7外相会合後の記者会見で明らかにした。(パリ=疋田多揚)