理学療法士を養成する専門学校「近畿リハビリテーション学院」(大阪府摂津市)に通っていた大野輝民(てるひと)さん(当時39)が自殺したのは、実習先でのパワーハラスメントが原因として、妻の佳奈子さん(45)が学校を運営する医療法人「高寿会」(大阪府吹田市)と実習先のクリニックを運営する医療法人「一裕会」(大阪市住吉区)に損害賠償を求めていた訴訟が大阪高裁で8日、和解した。
遺族側代理人によると、高寿会と一裕会が輝民さんの死に強い遺憾の意を表明し、再発防止策を取ることを約束した上で、遺族にそれぞれ1500万円の解決金を支払う内容という。
昨年6月の大阪地裁判決は、実習先での学習時間が国の基準である週45時間を大幅に上回る70時間に達していたことや、クリニックの担当者の叱責(しっせき)が自殺の原因と認定。学校側とクリニック側に安全配慮義務違反があったとして、原告の請求通り約6100万円の賠償を命じていた。
佳奈子さんは和解後の会見で「今も現場ではパワハラが起きている。業界が変わらなければ時代から残されることを感じてほしい」と話した。(大貫聡子)