仏日曜紙「ジュルナル・デュ・ディマンシュ」は14日、日本の経済産業省が2018年春、日産自動車と仏ルノーの間で持ち上がっていた経営統合案を阻止しようと関与を試みていた、と報じた。日本政府はこれまで、両社の提携について「政府が関与するものではない」との立場を表明していた。
カルロス・ゴーン もたらした光と影
同紙は同年4~5月に日産の幹部が、当時両社の会長だったカルロス・ゴーン容疑者(65)=会社法違反(特別背任)容疑で再逮捕=らにあてた電子メールを入手したとしている。
同年4月23日に日産幹部がゴーン前会長にあてたメールでは、経営統合をめぐって同社と仏政府で直前に行われた議論を報告していた。日産側は統合への慎重論を表明したほか、ルノーが日産に43%を出資する一方、日産のルノーへの出資は15%にとどまる関係の見直しを優先するよう求めたことを報告。仏政府側の意見として、「日産の経営統合に向けた歩みが確かでない以上、(日産の要求は)ルノーにとってあまりに大きな犠牲を払うことになる」と反発があった様子を伝えている。
5月21日に別の日産幹部がゴーン前会長や西川広人社長に送ったメールには、経産省が準備したという「覚書案」が添付され、そこには「両社のアライアンス(提携)強化は、日産の経営自主性を尊重することによってなされること」などと、日産の懸念に沿って、統合を阻むような文言が並んでいた。
ただ、この幹部は同じメールの中で「日本政府の支持はありがたいが、これは民間企業の問題だ」とも指摘。経産省の関与を必ずしも歓迎していなかったという。
両社の関係をめぐっては安倍晋三首相が18年12月、マクロン仏大統領と会談した際に「民間の当事者で決めていくもので、政府が関与するものではない」との考えを伝えていた。(パリ=疋田多揚)