同性婚を認めない民法や戸籍法の規定は「婚姻の自由を保障した憲法に反する」として、同性カップル13組26人が1人あたり100万円の賠償を国に求めて4地裁に一斉提訴した訴訟で15日午前、東京地裁訴訟の第1回口頭弁論があった。国側は請求の棄却を求め、具体的な反論は次回以降に行う考えを示した。
この日は原告2人が意見陳述した。男性パートナーと暮らす佐藤郁夫さん(60)は「私たちの日常は、男女の夫婦と何一つ変わらない。同性婚が認められ、私が若い頃に持っていた自分への否定的な気持ちを、これからの世代の人が感じなくてもよい社会にしてほしい」と述べた。
女性パートナーと暮らす40代の小野春さんは、お互いに男性と結婚していた時に出産した子らを一緒に育ててきた。3年前にがんが見つかったが、パートナーに共同親権はなく、法定相続人にもなれないことに触れ、「この状況では死んでも死にきれない。結婚にただ憧れて訴訟を起こしたのではない」と訴えた。
同性婚の是非を正面から問う国内の訴訟は初めて。憲法24条は婚姻を「両性の合意のみに基いて成立」すると定め、政府は「同性婚は想定されていない」という見解だ。一方、原告側は、同条は「家制度」に基づく明治民法下の婚姻の否定のうえに成り立っており、「国家や第三者に干渉されない、婚姻の自由を保障している」と主張する。
他の3地裁の訴訟は、札幌が15日午後、名古屋が19日、大阪が26日に始まる。(北沢拓也)