兵庫県多可(たか)町で一昨年5月に小学5年の女児(当時10)が自殺した問題で、経緯を再調査した第三者委員会が15日、報告書を発表した。同級生の女子グループ外の子と遊ばせない「囲い込み」などのいじめがあり、「いじめが自死した最も大きな要因」と結論づけた。学校側の対応も批判した。
報告書は、女児は小学4年の2学期以降、同級生のグループ内で足を蹴られる▽仲間外れにされる▽休み時間に見張られてグループ外の子と遊ぶことを制限され、グループ内に囲い込まれる――などのいじめを受け、孤立を深めたとした。
学校のいじめアンケートで、女児が仲間外れにされていると複数の児童が書き、「心と体のけんこうアンケート(ストレスチェック)」でも女児の数値は上昇していた。しかし学校側は具体的に対応せず「様子を見る」という対応に終始。「積極的な対応がされていれば、女児の疲弊感、苦痛感をキャッチできた可能性は十分にある」と指摘した。
学校が対応できなかった要因として、仲間外れや「囲い込み」はいじめで被害者に大きな精神的打撃を与えること、今回のような結果を招きかねないことが町教育委員会、学校、教職員に深く理解されていなかったことを挙げた。
この問題を巡っては、町教委の第三者委が昨年7月に調査報告書を発表。いじめがあったと認め、自殺の要因になったとした。しかし遺族側は「どのようないじめがあったのか、わかりにくい」などと再調査を申し入れ、町が改めて第三者委を設置していた。
女児の遺族は「我が子の悲痛な想いや悲鳴を周りの大人達が気づき助けることが出来なかったことが、今もなお、悔しく悲しい思いでいっぱいです。調査報告書を基に、二度とこのようなことを起こさないための再発防止策などを検討し、実施されることを強く望んでいます」とコメントした。
岸原章・町教育長は「いじめを見抜けなかったことを重く受け止めている。教員の資質向上などに取り組みたい」と話した。(広川始、直井政夫)