授業準備や部活指導などで長時間労働を強いられた結果、適応障害を発症して一時休職を余儀なくされたとして、大阪府立高校の男性教諭が25日、府に計230万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こした。現役教諭が過労問題で学校側を訴えるのは異例。
「長時間労働で適応障害」休職の高校教諭が大阪府提訴へ
提訴したのは西本武史さん(31)。「学校の先生の長時間勤務について、社会全体で考えてもらう裁判。正々堂々と戦おうと決意した」として、実名を公表して記者会見に臨んだ。
訴状によると、西本さんは2017年春以降、世界史の教科担当とクラス担任に加え、運動部顧問や生徒の海外語学研修の引率も担当。月120時間を超す時間外労働が続き、同年7月ごろに適応障害を発症して2度にわたって休職したという。西本さん側は、過重な業務負担に対し、学校側が適切な軽減措置をとるのを怠ったと訴えている。
会見で西本さんは「教師の個人的な犠牲の上に学校教育があるべきではない。同じように病気にかかるなどして悩んでいる教師を少しでも勇気づけられたら」と語り、涙をぬぐった。
大阪府の酒井隆行教育長は「今後も教職員の『働き方改革』をいっそう進めていく必要があると考えている」、松井一郎知事は「教職員の勤務時間の管理、負担軽減を徹底するよう指示した」とコメントした。(山崎毅朗)