火災が起きたノートルダム大聖堂の内部には、貴重な美術品や文化財が数多く保管されていた。AFP通信によると、中でも重要な「いばらの冠」と「チュニック」は無事に運び出された。
【写真】ノートルダム大聖堂の尖塔(せんとう)部分が炎と煙にのみ込まれながら崩れ落ちる瞬間をとらえた
最初に現場に到着した消防隊員らは「できるだけ多くの遺産を守ること」を優先事項の一つとして、内部に保管されていた文化財を運び出した。また、15日から始まった改修工事のため、事前に運び出されて難を逃れた品もあったという。ただ、無事に保護できた文化財の数は明らかになっていない。
収蔵品はカトリック信者にとって崇拝の対象。いばらの冠とチュニックは、13世紀にフランスを治めた国王ルイ9世にまつわる。炎が広がる前に大聖堂の内部から持ち出されたという。
いばらの冠は1239年にコンスタンティノープルから持ち帰ったとされる。ゴルゴタの丘で十字架にかけられたキリストが頭にかぶせられたものとされ、受難の象徴としての意味がある。毎月第一金曜日に信者たちが祈りを捧げていたという。チュニックはルイ9世が着用していたとされる。
他にも、ローマ法王のカメオや金や銀で装飾したミサに使う道具などが収蔵されているが、今のところ、火災を逃れたかどうかはわかっていない。(宋光祐)