ロシアのミハイル・ガルージン駐日大使が朝日新聞のインタビューに応じ、日本との平和条約交渉について「期待のレベルを無理に高めず、着実に対話を進めることが望ましい。無理に期限を設けて早めるやり方は効果的でない」と述べた。6月の主要20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせたロシアのプーチン大統領との首脳会談で大筋合意することは難しいとの考えを示したものだ。
安倍晋三首相とプーチン氏は昨年11月、歯舞、色丹の2島引き渡しを明記した1956年の日ソ共同宣言を基礎に交渉を加速させることで合意した。22日にも次官級協議を開く予定で交渉は活発になっている。
だが、ガルージン氏は19日のインタビューで「56年宣言の第1条で日ソ間に友好と善隣が樹立されるとなっている。日本が米国主導のロシア制裁に加担することは友好と善隣に沿うのだろうか」と述べ、さらに「全く不法に、全く非常識に発動した制裁に参加するなら、それはパートナーシップだろうか」と日本の姿勢に疑問を呈した。
米ロの関係悪化が影を落としており、領土交渉の前に必要だとする平和条約の締結に関しても、「米国は最近、明らかにロシアに敵対的な政策をしている。米軍は日本各地に配備され、ロシアの安全保障上の脅威だ」と述べ、ロシア側の懸念を解消するよう求めた。
「クリル諸島(千島列島と北方領土のロシア側呼称)が第2次大戦の結果、ソ連(ロシア)に合法的に引き渡されたと日本が認める」ことも重要だとした。
一方で「日ロは互いに利益をもたらす潜在力がとても大きい」と指摘。「過去の歴史について意見に違いがあっても、協力に悪影響を与えてはならない」と述べ、経済のほか幅広い分野での協力に意欲を示した。
■日本側の譲歩、強…