多くの車に搭載されるカーナビゲーションシステム(カーナビ)。見知らぬ土地で道案内してくれる心強い味方だ。精度が高い地図や経路案内、美しいディスプレーなど、こだわりが強い日本の「ものづくり」のお家芸ともいえる製品たが、ここへ来てカーナビ各社の苦境が目立っている。背景を追うと、世界の自動車産業で続く地殻変動が見えてきた。
今年1月、カーナビ大手のアルパインと、同社の筆頭株主の電子部品大手・アルプス電気が経営統合し、「アルプスアルパイン」が発足した。もともとアルパイン株の4割超を握っていたアルプス電気が完全子会社化した。アルパインのカーナビと、センサーやスイッチといった車部品を手がけるアルプス電気の技術を組み合わせ、技術開発を加速するねらいがあるという。
パイオニア、香港ファンドの傘下に 沈む「ものづくり」
相次ぐ傘下入り
カーナビ業界では最近、大手の傘下に入る動きが相次ぐ。いずれも経営が厳しくなり、単独での生き残りが難しくなった。
「イクリプス」のカーナビで知られる富士通テンは2017年、トヨタ自動車系部品大手デンソーの傘下に入り、「デンソーテン」と名を変えた。
日立製作所の子会社だったクラリオンは今年3月、仏自動車部品大手フォルシアに買収され、上場を廃止した。
そして、「カロッツェリア」で知られるパイオニアは3月、香港系投資ファンドの完全子会社となり、上場を廃止した。ファンドから約1020億円の資金支援を得て、経営再建をめざす。
カーナビは多くの車に搭載され、通信機能など高機能化が進む。IoT(モノとインターネット)など、電気製品とネットがつながる時代に、さらにニーズは増えそうだ。
実際、市場規模は拡大している。電子情報技術産業協会の統計では、カーナビの年間出荷台数は08年の448万台に対し、18年は614万台に増えた。
それなのに、なぜ各社は苦しんでいるのか。
■苦戦…