ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、大阪市)のオフィシャルホテルの用地取引で得た仲介料などを隠し、約1億8400万円を脱税したとして、日鉄興和不動産(東京)の元営業開発室長(59)が、東京国税局から法人税法違反容疑で東京地検に告発されたことがわかった。
告発されたのは、本多昭元室長と、本多元室長が社長を務める会社(東京都港区)。2017年12月期までの2年間に約7億5200万円の所得を隠し、脱税した疑いがある。
関係者によると、USJの南隣に建設中の「リーベルホテル アット ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(760室、19年11月開業予定)の用地約3万平方メートルを、16年8月に埼玉県の会社が約100億円で特定目的会社から購入。本多元室長は買い手側の窓口となった日鉄興和不動産の交渉を担当する一方、売り手側の仲介役の不動産会社に自身が社長を務める会社を関与させ、不動産会社から仲介手数料などを得ていたという。
同国税局は昨年12月に強制調査(査察)に着手。仲介料の一部を小切手で受け取って売り上げから除外していたほか、架空の外注費を計上するなどして、所得を少なく見せかけた、と判断した。
日鉄興和不動産は取材に「個人的な脱税行為に関する容疑と承知している。副業禁止の社内規定に違反していたため厳正に対処し、今年1月に依願退職した」と説明。本多元室長は取材に回答しなかった。(花野雄太)