法人税約1億3千万円を脱税したとして、名古屋国税局は、美術品販売会社「アート買取協会」と「イスクラ」=いずれも名古屋市中区=と、実質経営者の加納義久氏(52)=同市千種区豊年町=を法人税法違反の疑いで名古屋地検に告発した。加納氏は容疑を認めているという。複数の関係者への取材でわかった。
関係者らによると、2社は2017年までの3年間で、売り上げの一部を除外するなどして計約5億7千万円の法人所得を隠し、計約1億3千万円を脱税した疑いがある。
アート社は、商品をオークションなどで売ったように見せかけて、帳簿上に存在していないように偽装。その後、ほかの業者の名前でオークションを通じてより高い値段で売るなどして売り上げを除外していたとみられる。イスクラ社は、アート社の帳簿上から消えた商品を百貨店などで販売。その際、架空の仕入れ代金を計上して、利益を圧縮していた模様だ。加納氏は取材に「見解の相違はあったが反省している」と話した。
信用調査会社などによると、アート社は00年、イスクラ社は1983年の設立。アート社は、東京、大阪、福岡などに営業拠点がある。売上高はアート社が18年6月期で約20億円。イスクラ社は同年7月期で約18億円。