桜の枝を持ち、華やかに舞う芸舞妓たち=3月31日、佐藤慈子撮影
間もなく新天皇に即位する皇太子さまは、かつて京都最大の花街・祇園甲部の舞台公演「都をどり」(今年は4月1日から27日まで/
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)を鑑賞したことがある。
2001年4月5日。京都市内で開かれた学術会議に出席するため、前日京都入りした皇太子さまは、当時41歳。大勢の芸妓(げいこ)らに出迎えられ、同市東山区にある祇園甲部歌舞練場の2階席に座った。振り付けを担当する京舞井上流五世家元・井上八千代さん(62)らの説明を受け、皇太子さまはときに身を乗り出すようにして芸舞妓(げいまいこ)が見せる舞を楽しんだという。
第四景の「四条河原阿国舞」。出雲の阿国(左)の前に名古屋山三が亡霊となって現れた=3月31日、佐藤慈子撮影
当初は雅子さま(55)も一緒に鑑賞する予定だった。だが「風邪」を理由に、雅子さまの京都行きは訪問当日の4日朝に取りやめになった。祇園の街は落胆した。
【特集】京都花街マガジン
「雅子さまが見られるって、もううれしくて。花見小路中、みんなで出てお迎えしようって話してたんですけど」
祇園甲部歌舞会総務の太田紀美さんは、昨日のことのように振り返る。太田さんは、祇園の老舗お茶屋「富美代」の8代目女将(おかみ)。京都五花街の組合連合会の会長でもある。
ほどなく、花街に吉報が舞い込む。
皇太子さまが都をどりを堪能した日から11日後、宮内庁は「雅子さまにご懐妊の可能性」と発表した。前月末から懐妊の兆候があった。祇園は一転、お祝いムードに包まれたという。この年12月に生まれた愛子さまは、今年18歳になる。
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昔話「わらしべ長者」をアレンジした第五景の「藁しべ長者出世寿」。浄瑠璃の演目らしく黒衣が登場し、トンボを操る場面も=3月31日、佐藤慈子撮影
祇園甲部で長く会計を担当する中島義高さん(75)によると、皇太子さまが都をどりを鑑賞したのは「おそらくこのときが最初で最後」。しかし、皇室と都をどりは浅からぬ縁がある。明治新政府の成立とともに明治天皇が京都を離れたことで、都をどりは生まれたからだ。
東京遷都で消沈した街を活気づ…