歌番組に君臨していた昭和から打って変わり、平成のアイドルは、「冬の時代」から始まった。平成のアイドルはどう移ろったか。
「もっと声出してーー!」。3月中旬のある夜。都内のライブハウスで、アイドルグループ「幻.(ドット)no(ノー・マボテン)」のリーダー早乙女ゆみのさん(24)が、会場の30人ほどのファンをあおった。それに応じて「おおおおおお!」と野太い声が響いた。
マボテンは2018年4月から都内のライブハウスを中心に活動する女性4人組。プロデューサーもマネジャーもいない。ライブ会場の手配や楽曲制作、衣装作りのすべてを自分たちで手がける「セルフプロデュース」だ。ライブに集まるファンは多くて50人程度だが、メンバーの水神結真さん(23)は「いつかは2万人以上が入る、さいたまスーパーアリーナに立ちたい」と話す。
マボテンのようにライブ中心の「地下アイドル」や、地方のイベントでPR活動をする「ご当地アイドル」は、2010年ごろから急激に増えた。「アイドル戦国時代」と呼ばれる状況が、この10年近く続いている。
それ以前の平成初中期を「アイ…