日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告(65)が金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の罪などで起訴された事件で、東京地検特捜部が、司法取引に応じて捜査に協力した日産の幹部2人について、「公訴を提起しない」とした合意内容に基づき、不起訴処分にしたことが関係者への取材でわかった。
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関係者によると、不起訴になったのは外国人執行役員と日本人元秘書室長。外国人執行役員は昨年10月10日、元秘書室長は同月26日、弁護人を通じて特捜部に司法取引を申し入れた。
2人はそれぞれ、10月31日と11月1日に特捜部と合意書面を交わした。書面では、すべての証拠の提出や裁判での証言を約束。見返りとして、①レバノンとブラジルの住宅の購入・改修費として日産子会社から計約22億5千万円を支出させて日産に損害を与えた②有価証券報告書に前会長の役員報酬を虚偽記載した――という二つの容疑について「公訴を提起しない」と合意した。
合意後の昨年11月19日、特捜部はゴーン前会長を金商法違反容疑で逮捕し、同罪で起訴したが、住宅の購入をめぐる容疑については事件化していない。