オーストラリアで昨年10月から発行されている50豪ドル(約3850円)の新札に印刷ミスが見つかった。虫眼鏡で見ないとわからないほど小さな文字で記された単語のつづりが間違っていた。豪準備銀行(中央銀行)によると、流通済みの4600万枚は回収しないという。
豪紙シドニーモーニングヘラルドなどによると、豪州初の女性議員であるエディス・コーワンの肖像画の背景に、とても小さな文字で書かれた文章の「RESPONSIBILITY(責任)」のつづりが、3カ所で「RESPONSIBILTY」となっていた。1921年に西オーストラリア州議会に初当選したコーワンが「唯一の女性としてここにいることに、大きな責任を感じる」などと語った議会での初演説の一節だ。
ミスは、地元ラジオ局にリスナーが知らせたことでわかった。豪準備銀行の報道担当者は昨年12月から気づいていたと説明。「法定通貨という位置づけに影響はない」として回収せず、次回の印刷分から正しいつづりになるとした。
豪州では、偽造の防止や耐久性の向上を目的に、1988年に世界で初めて薄いプラスチックのポリマー製のお札を導入した。(シドニー=小暮哲夫)