政府はマイナンバーカードを活用して、確定申告の際の医療費控除の手続きを2021年から簡素化する。それを可能にするための健康保険法等改正案が14日、参院厚生労働委員会で自民党や公明党、立憲民主党などの賛成多数で可決された。15日の参院本会議で成立する見通し。
マイナンバーカード、健康保健証として利用可 政府方針
医療費の自己負担が一定額を超えた場合に税負担が軽減される医療費控除は、いまもマイナンバーカードを使ってネット上で申告できるが、受診した医療機関名や医療費などを領収書をもとに自分で入力する必要がある。
今回の改正に基づき、保険診療のデータをもつ社会保険診療報酬支払基金と国民健康保険中央会、マイナンバー制度の個人用サイト「マイナポータル」、国税庁のシステムをそれぞれ連携させる。システム連携によって、申告書作成が自動化され、21年9月診療分から領収書の保管も入力作業も必要なくなる。
21年3月からは、カードを健康保険証の代わりとして使えるようにする。転職や引っ越しで加入する公的医療保険が変わっても、新しい保険証の発行を待たずに受診できる。ただ、カード普及率は今年4月時点で13%。医療機関などが個人認証のためにカードのICチップを読み取るシステムを整備する必要もあり、どこまで普及するかは不透明だ。(西村圭史)