不正融資が多数発覚していたスルガ銀行(静岡県沼津市)は15日の決算会見で、資料改ざんなどの不正やその疑いがある融資額が約1兆700億円に上り、不動産投資向け融資全体の6割を占めるとの調査結果を発表した。新たな事業構築に向け、新生銀行や家電量販大手ノジマと業務提携を検討することで基本合意したことも明らかにした。
スルガ銀は昨年10月に金融庁から6カ月間の業務停止命令を受けた後、1・8兆円ある不動産投資向け融資すべてを調べていた。対象はシェアハウスや中古1棟マンションなどへの融資約3万8千件。昨年10月時点では書類改ざんなどの不正が1500件超あるとしたが、融資額は明かしていなかった。
15日公表の調査報告書によると、客の年収や貯蓄を水増しするため預金通帳や源泉徴収票などを改ざん・偽造したと認定した融資は7813件(融資額5537億円)あった。計75人の行員が不正を指示・黙認するなどして関与したと認定した。
改ざん・偽造の疑いがある案件が1575件(同864億円)あった。ほかに不動産業者がお金を立て替えるなどして自己資金を偽装したと疑われる案件も約4千件(同約4300億円)ある。
不正とその疑いがある融資件数は合計1万3千件を超える。不正融資が横行した商工組合中央金庫で昨年春までに明らかになった計約5500件を大きく上回る。
有国三知男社長は会見で「これだけの件数の不正が検出されたことは誠に申し訳なく、非常に反省している」と述べた。
19年3月期決算は純損益が9…