スリランカで4月に起きた連続爆破テロで、首謀者で実行犯の1人でもあるザハラン・ハシム容疑者が、2016年ごろに過激派組織「イスラム国」(IS)のシリア支配地域に渡航していたことが、捜査当局への取材で分かった。IS戦闘員として参加していたとみられ、母国に戻ると若者らの過激思想への「洗脳」を進めていたという。
特集:スリランカ爆発事件
スリランカ東部カタンクディ郊外。荒れ地につくりかけの小屋がたっていた。かつて反政府組織タミル・イーラム解放の虎(LTTE)が拠点とした土地だ。「昨年10月ごろから、軍事訓練の拠点をつくっていた。ハシム容疑者の指示だ。ハシム容疑者の運転手が供述した」と、小屋を調べていた捜査員が明らかにした。付近の土中からは、手投げ弾や爆弾作りの材料が見つかったという。
捜査当局によると、ハシム容疑者はシリアのISで訓練を受け、戦闘員として活動していた可能性があるという。帰国後の17年以降、この経験をもとに、国内にこうした訓練キャンプや隠れ家などを計17カ所に設置。SNSアプリ「テレグラム」を使ってIS関係者とも連絡をとりつつ、組織拡大を図っていた。
押収されたハシム容疑者のパソコンには、仲間の一覧表が保存されており、180人ほどの規模だったとみられる。
南部ハンバントタには、3日間の合宿形式の「洗脳」キャンプがあった。ISへの忠誠心を植え付ける狙いで、少なくとも100人が参加。多くが20代前半のイスラム教徒だった。
「ただで飲み食いできて泊まる場所もある。偉大な聖職者の話も聞ける旅行だ」。そんな誘い文句で、ハシム容疑者の父や、爆弾製造を担当していた弟が地元カタンクディ周辺から連れだしていたという。
■私語厳禁、「非イスラム教徒は…