2024年度に紙幣が一新されることになり、お札のデザインや印刷を担う国立印刷局では新たな「お札の顔」となる肖像を彫るための事前準備が始まっている。国立印刷局が、新紙幣の印刷もする予定の東京工場(東京都北区)での準備作業などの模様を報道陣に公開した。
これから正式に新紙幣のデザインを作る段階に入る。芸術大学など出身の工芸官と呼ばれる職員が複数の写真を参考に肖像の見本を描き、それを元に原版を彫刻していくという。工芸官が習作と呼ばれる練習用の彫刻をする過程が公開された。ルーペを片手に持ってのぞきながら、ビュランと呼ばれる特殊な彫刻刀で金属の板を肉眼では分からないほど微細に彫っていた。
3次元の画像が角度を変えると回転して見える「ホログラム」などの偽造防止技術も見本が示された。新紙幣にも使われる予定の技術だ。
現在、東京工場を含む国内4工場で年間約30億枚の紙幣を製造しているという。紙幣が印刷される過程や、縦に5枚、横に4枚の状態で印刷された現行の1万円札を裁断する様子も公開されたが、保安上の理由から撮影できるエリアなどは厳しく制限された。(岩沢志気)