今年も熱中症対策が必要な季節になった。真夏に多いイメージが強いが、体が暑さに慣れていない今の時期から注意が必要だ。今週の後半から来週初めにかけて、全国的に気温が上がることが予想されている。専門家は、こまめな水分補給や適切なクーラーの使用などを呼びかけている。
どうすればいい熱中症対策 どう防ぐ、なったらどう対応
東京消防庁によると、都内で昨年5月に熱中症の疑いで救急搬送されたのは140人。4月の2人から大幅に増えた。今年も4月は1人だったが、5月は19日現在で60人が搬送された。運動会シーズンの5~6月は、屋外で練習をする機会も増え、真夏ほど気温が高くならない日でも、体調を崩すことも少なくない。
福井県鯖江市の小学校では5月17日、体育大会の練習をしていた児童29人が頭痛などの症状を訴え病院に運ばれ、うち15人が軽度の熱中症と診断された。
熱中症は高温や湿度の高い環境で、体に熱がこもったり、体内の水分やナトリウムが減ったりしておこる。めまいや立ちくらみのほか頭痛や倦怠(けんたい)感、ひどい場合は意識障害にもなる。
熱中症に関する環境省のマニュアルでは、体が暑さに慣れ始めるのには少なくとも3、4日かかるといい、急に気温が上がる日は特に注意が必要だ。
気象庁によると、今週後半から来週初めにかけて全国で高温が予想される。24~28日の最高気温は東京都心で30度以上、埼玉県熊谷市では32度以上の予報だ。25日は山形市で最高気温32度、26、27日は福島市で34度の予報だ。
熱中症が疑われたらどうしたらいいか。東京都医師会は、熱中症の応急処置の頭文字をとった「FIRST」を勧めている。水分補給(Fluid)、体を冷やす(Ice)、涼しい場所で休む(Rest)、15~30分ほど様子を見る(Sign)。それでも改善しなければ治療(Treatment)が必要として、病院などへの受診を促す。
兵庫医科大特別招聘(しょうへい)教授の服部益治医師(小児科)は「体の不調をうまく説明できない幼児や、暑さを感じにくい高齢者は特に注意が必要で、周りの人が注意してほしい。5月でもクーラーを使うことをためらわないで」と話している。(三上元)