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ツキ呼んだ復活の「イノシシ」 明大が六大学野球V

東京六大学野球で26日、明大が5季ぶり40度目のリーグ制覇を決めた。今年掲げたスローガンは「猪突猛進」。亥年(いどし)の令和元年は、明大にとっては先人ゆかりの特別な年でもある。



「イノシシの効果が出てきたかな」。明大の善波(よしなみ)達也監督(56)はシーズン中、何度かそんな言葉を口にしてほほ笑んだ。「イノシシ」とは1952年から88年まで明大野球部を指揮し、15度のリーグ優勝に導いた「御大」こと島岡吉郎(きちろう)元監督の生まれ年(1911年)の干支(えと)にちなみ、当時の選手らのユニホームについていたワッペンのこと。亥年の今年、約30年ぶりに復活した。


チームは柳裕也(現・中日)らを擁して春秋連覇を遂げた2016年以降も常に優勝候補に挙げられながら、運に見放されてきた感があった。だが、今季は力があって運もある。「運」のほうは、イノシシが運んできてくれたのかもしれない、ということだ。


接戦での弱さを克服


近年、とりわけ昨年の明大は競り合いに弱かった。7勝6敗で3位の春は6敗すべてが1点差負け。4位に終わった秋も、前半の法大、慶大戦で1点差試合を続けて落とし、早々と優勝争いから後退していた。


それが、「イノシシ」を身につけた今季は競り負けない。1点差の試合は2戦2勝。終盤、この2年間、一度も勝ち点を手にできなかった慶大戦も2戦続けて競り勝った。


4―2で勝利した慶大2回戦で飛び出した2年生右腕・竹田祐(履正社)の満塁本塁打には、善波監督も「びっくり。内容で負けて、でも、運があって試合には勝てた」と不思議そうに振り返った。この試合、明大の安打は3本。一方で慶大には10本打たれ、押され続けていた。それでも負けない。今季の流れは明大にあることを、象徴したような試合だった。


エースで主将の森下引っ張る


昨年からエースのプロ注目の154キロ右腕・森下暢仁(まさと)(4年、大分商)は今季は主将も務め、チームを引っ張った。唯一、最初のカードの立大1回戦は気負いなどから本来の力を出せずに敗れたものの、以降は4連勝。前日25日の法大1回戦は猛暑の中で終盤崩れて逆転されたが、九回2死から喜多真吾(4年、広陵)が放った同点本塁打に救われた。負けない強運は続いているようにも映った。


26日の2回戦は先発の竹田が一回に満塁本塁打を打たれるなどで三回までに0―7とされたが、四回以降得点を重ね、救援の投手陣がいずれも好投して、7点差をひっくり返す逆転勝利。結局、開幕初戦を落としたあとは一度も負けなかった。


リーグ随一の投手力を支えに、欲しかった運も味方につけて、誓い通りに「猪突猛進」で頂点へ。先人ゆかりの亥年、令和元年にリーグ王者に返り咲いた。(杉山圭子)


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