旧優生保護法の下で知的障害を理由に不妊手術を強いられたのは違法だとして、2人の女性が国に損害賠償を求めた訴訟の判決が28日、仙台地裁で言い渡される。裁判長は「憲法判断を回避しない」と述べており、法律が違憲だったかどうか、正面から判断をするとみられる。全国7地裁に起こされた同様の訴訟の中で判決は初めてで、判断内容によっては、被害者への国の対応に影響を与える可能性がある。(山本逸生)
強制不妊、傷ついた義妹の人生「バカにするにもほどが」
判決が言い渡されるのは、宮城県内に住む60代と70代の女性が起こした訴訟。60代女性は知的障害を理由に15歳で、70代女性も16歳で何も告げられないまま強制不妊手術を受けたと訴え、それぞれ3300万円と3850万円の賠償を求めている。
主な争点は三つある。①旧優生保護法(旧法)が違憲だったか②不妊手術をさせたのは違法だとして、国の賠償責任が認められるか③旧法が改められた後、国会や政府が補償のための法律を作らなかったことが違法か――だ。
「憲法判断を回避しない」
①について原告側は、「生殖に関する自己決定権(リプロダクティブ・ライツ)」が、幸福追求権などを規定した憲法13条によって保障されているとしたうえで、旧法はこの権利を侵害したと主張する。また、「不良な子孫の出生防止」という旧法の目的も障害者差別で、法の下の平等を定めた憲法14条に違反すると訴えている。リプロダクティブ・ライツは国際的に確立された権利だが、日本で認めた判決はないという。
一方、国は旧法が違憲だったかどうかについては見解を示していない。中島基至裁判長は昨年6月の口頭弁論で「憲法判断を回避しない」と異例の発言をして認否を求めたが、国は「主要な争点ではない」として最後まで拒んだ。
国が違憲性についての見解を示さない理由は争点②にもつながる。原告は「国は違憲な旧法による不妊手術をさせないよう、都道府県に通達したり、法改正したりする義務を怠った」として、賠償責任があると主張している。これに対し、国は「除斥期間」が過ぎているとの立場だ。「不法行為から20年が経過すると、損害賠償の請求権が消滅する」という法解釈で、違憲性について判断するまでもなく、請求は棄却されるべきだとしている。
過去に、除斥期間の例外が認め…