全国的に季節外れの暑さが続いています。北海道佐呂間町では26日、5月の国内の気温としては史上最高の39・5度を記録しました。気象庁によると、関東地方では28日も、この高温が続くようです。一足早い真夏並みの暑さを和らげる方法はないのでしょうか。国内に砂漠があったり、熱波被害で過去に犠牲者が出たりした中東やインドの関係者に、役立ちそうな対策を尋ねました。
気象庁がホームページで公開している「世界の天候データツール」でここ数日の気温を検索すると、中東やアフリカでは最高気温が40度を超える地域がずらりと並んでいました。このうち、ドバイの砂漠などで知られるアラブ首長国連邦(UAE)は26日に44・1度を記録していました。まずは、日本アラブ首長国連邦協会(東京)の担当者にうかがいました。
――UAEは砂漠の国ですね。
そうです。現地の建物にはかつて、外から空気を取り入れるためのタワーが設置されていました。タワーの最上部は空気が通るように穴が開いていて、砂漠のそよ風を取り込むとともに、屋内の熱い空気を外に出す仕組みだとされています。ただ、こうした装置は伝統的な建物だけにあり、今ではほとんど利用されていません。
――では、現代の人たちはどうしているのですか。 UAEはご存じのとおり、石油資源があって非常に豊かな国です。電力も豊富に供給されており、人々は、寒いくらいにクーラーをきかせた部屋で過ごしていますね。
――日本でも生かせそうな知恵はありますか。
砂漠ですから、日本のように打ち水をしても意味がありませんし、そもそも自然の水はほとんどありません。あまり参考にならないかもしれませんね。
50度にもなるインド
気温の記録を眺めると、南アジアの暑さも目を引きます。インド中部のナグプールは26日の最高気温が46・5度でした。インドではかつて、熱波によって1週間に400人以上が死亡したこともあります。日印協会の理事長で、同国の大使も務めた平林博さんに尋ねると、「インドの人は自然の摂理に合わせることが一番だと考えています」と教えてくれました。どんな方法なんでしょうか。
――インドの暑さ対策はどんなものですか。
中間層以上の人たちは冷房を使って暑さをしのいでいます。でも、冷房に多額のお金をかけられない人が圧倒的に多いですし、お金があっても、一部の大都市を除けば停電や電圧の頻繁な変化などがあって電力供給が安定しておらず、冷房を使うのも容易ではありません。そんな時、人々は日陰で水分補給をして日が暮れるのを待つのです。
――インドの辛いカレーには、汗を流して体を冷やす役割があるのではないですか?
現地の人は「おいしくて口に合うものだから食べているんだ。汗をかくために食べているわけじゃない」と言います。確かに、彼らは暑さに慣れているので、私たちのように多く汗をかくわけではありませんが、やはり香辛料がたくさん入ったものを食べて、汗をかくのは必要不可欠なことです。ちなみに、香辛料を多く使うのは、暑さで食材が腐るのを防ぐ目的もあるのだそうです。
――平林さんはインドで暮らしていらっしゃいましたね。
デリーは大陸性気候で、4~5月は日陰でも45度や50度になることもあります。そんな暑さでも、私たちはゴルフに行ったりしていましたよ。もちろん、なるべく朝早くにスタートし、日陰を歩いて、大きなペットボトル2本の水を飲みながらです。それでも湿気が少ないので、8月の東京の暑苦しさよりはましだったかもしれません。
45度が珍しくないニジェール
国土の3分の2を砂漠が占める…