川崎市多摩区の路上で28日、19人が殺傷された事件で、岩崎隆一容疑者(51)=直後に自殺=が、スクールバスのバス停周辺で並んでいた児童を後ろから襲っていたことが神奈川県警への取材でわかった。県警は、児童らは襲撃に気づくのが遅れ、被害が広がった可能性があるとみている。
死傷事件容疑者、近隣トラブルも 川崎市内に住む51歳
捜査1課によると、現場周辺の複数の防犯カメラの映像を分析した結果、事件発生の約5分前には岩崎容疑者が小田急小田原線登戸駅にいるのを確認。その後、JR南武線の線路沿いに徒歩で事件現場に向かったことがわかった。スクールバスを待つ私立カリタス小学校の児童に後方から近づいた。
移動の途中で手袋をはめ、現場近くのコンビニエンスストアの駐車場で、持っていたリュックサックから刃物を取り出したとみられるという。
さらにバス停付近に停車していたスクールバスのドライブレコーダーには、両手に刃物を持った岩崎容疑者が児童を後ろから襲う様子が映っていた。児童は事前には岩崎容疑者に気づかなかった様子で、岩崎容疑者は無言のまま小走りで移動していたという。刺された小学6年の栗林華子さん(11)が失血死、児童16人が重軽傷を負った。ほかに外務省職員の小山智史(おやまさとし)さん(39)が出血性ショックで死亡し、保護者の女性(45)も重傷だった。
29日の家宅捜索で川崎市麻生区の岩崎容疑者の自宅押し入れからは、刃物の空き箱が四つ見つかった。県警は事前に凶器の包丁を買ったとみている。