実刑判決の確定後、刑務所に収容される前に無職小林誠容疑者(43)が逃走した事件で、小林容疑者が神奈川県横須賀市森崎のアパートで見つかり、横浜地検は23日午前6時38分、公務執行妨害の疑いで逮捕した。県警が全国に指名手配して行方を追っていた。
横浜地検によると、小林容疑者は19日午後1時5分ごろ、地検の職員5人が収容のために自宅を訪れた際、包丁のようなものを突き出し、振り回すなどした疑いがある。県警厚木署員2人も同行していた。
捜査関係者によると、小林容疑者は「だましたな」などと大声で叫んで説得に応じず、刃物で威嚇しながら近くにあった知人名義の黒の乗用車で逃走。近隣の相模原市で警察官に目撃されたり、同県厚木市のコンビニエンスストアの防犯カメラで車を降りる様子がとらえられたりしていた。同日午後11時半ごろ、厚木市三田のアパートの敷地内で逃走車両が見つかり、県警が1500人以上の態勢で捜査。車内には衣類が残され、刃物はなかった。
小林容疑者は昨年9月、窃盗や傷害、覚醒剤取締法違反(使用)などの罪で横浜地裁小田原支部で実刑判決を受けた。控訴したが今年1月に東京高裁に棄却され、2月8日に判決が確定。すぐに刑務所に収容するのが原則で、地検は保釈されていた小林容疑者に出頭を命じたが小林容疑者は応じなかった。以降、地検は何度か自宅を訪問したが、約4カ月にわたって面会できていなかった。
小林容疑者が逃走した後、地検が事案を公表したのは約3時間後、県警が緊急配備をしたのは約4時間後で、対応の遅れが指摘されていた。
地検が20日に小林容疑者の自宅を家宅捜索した際、覚醒剤を使うためとみられる注射器が見つかっている。
小林誠容疑者の逃走の経緯
【2018年】
9月21日 横浜地裁小田原支部で懲役3年8カ月の実刑判決。公判中の7月23日に保釈決定
10月30日 再保釈
【2019年】
1月24日 東京高裁で控訴棄却
2月8日 刑が確定。以降、横浜地検職員らが複数回、自宅を訪ねるが接触できず
【6月19日】
午後1時5分ごろ 横浜地検の職員5人と神奈川県警厚木署員2人が、自宅を訪問。小林容疑者が刃物を振り回す
午後1時半ごろ 小林容疑者が車で逃走
午後5時前 地検が逃走について報道各社に一報
午後5時40分ごろ 逃走車両が相模原市南区の国道16号を通過か
午後5時45分ごろ 県警が緊急配備
午後5時55分ごろ 相模原市南区の量販店の駐車場で、車を降りる小林容疑者を警察官が目撃
午後6時5分ごろ 車が同県大和市の東名高速下り、大和トンネル付近を通過か
午後6時45分ごろ 厚木市のコンビニ駐車場の防犯カメラに小林容疑者とみられる男の姿。同時刻ごろ、近くの理髪店で散髪
午後8時過ぎ 厚木市の別のコンビニの防犯カメラに小林容疑者とみられる男の姿。公衆電話で約20分間通話
午後11時半ごろ 警察官が厚木市のアパート敷地内で車を発見
20日 地検が公務執行妨害容疑で逮捕状
23日 小林容疑者を同県横須賀市内で発見、地検が公務執行妨害容疑で逮捕
(横浜地検、神奈川県警などへの取材による)