大阪府寝屋川市の中学1年の男女2人が殺害された事件で、大阪地裁で死刑を言い渡された山田浩二死刑囚(49)が控訴を取り下げたことについて、弁護人が大阪高裁に取り下げの無効を申し入れた。同死刑囚は取り下げを後悔しているとされるが、被害者遺族側の代理人弁護士は「被害者を置き去りにしている」などとコメントした。
大阪地裁は昨年12月、山田死刑囚が2015年8月に平田奈津美さん(当時13)と星野凌斗さん(同12)を窒息死させたと認定し、求刑通り死刑を言い渡した。同死刑囚側は控訴したが、同死刑囚が5月18日に控訴を取り下げて死刑が確定。しかし大阪高裁によると、弁護人が30日、「控訴取り下げの効力を争う」とする申入書を提出した。
月刊誌「創(つくる)」の篠田博之編集長(67)は、控訴を取り下げた後の23日と24日に面会。山田死刑囚は、18日に貸し出されたボールペンの返却をめぐり刑務官と口論になり、パニック状態で同日中に衝動的に取り下げたと説明。「こういう取り下げ方をしたことを後悔している」と話したという。
一方、被害者2人の遺族の代理人弁護士はそれぞれ談話を発表。星野さんの母親の代理人を務める奥村昌裕弁護士は「ご遺族の苦しみは深い。被害者を置き去りにするもので、遺族に不安定な生活を強いる」、平田さんの遺族代理人の平瀬義嗣弁護士は「ご遺族は申請を冷静に受け止めておられました」とした。(遠藤隆史)