31日午後5時10分ごろ、福岡市博多区板付4丁目の路上で「女性が倒れている」と警察に通報があった。駆けつけた警察官が、女性の自宅とみられる近くの市営住宅を訪れたところ、3階の室内で男女が倒れていた。このうち男性の死亡が確認された。
県警などによると、死亡した男性は40代とみられ、腹部から大量に出血していた。室内にいた女性は70代ぐらいで男性の母親とみられ、頭を金づちのようなもので殴られ、意識不明の重体。路上で倒れていた女性は40代ぐらいで男性の妹とみられ、胸を刃物で刺されて重傷だという。
妹とみられる女性は警察官に「自宅で兄に刺された」と説明。警官が市営住宅に向かったところ、部屋から黒煙が出ていたという。室内にいた女性は意識を失う前に「息子が引きこもりで、仕事をせえ、という話から親子げんかになった」との趣旨の話をしたという。県警は死亡した男性が母と妹を襲った後、自殺した可能性もあるとみて、殺人未遂容疑で調べている。
住民らによると、3人はこの部屋で暮らしていた。同じ棟に住む60代女性は、けがをした女性2人は普段よく見かけたが、男性はここ約10年で1度ぐらいしか見たことがないという。「(高齢女性は)とても優しい方で自治会の役員をしていた。びっくりしたし、不安だ」と話した。
市営住宅の隣の棟に住むパート女性(71)は、友人からの電話で事件を知り、隣の棟を見ると、同じ階の玄関から黒い煙が出ていた。搬送された高齢の女性とは5月にも団地の掃除で会ったという。「ごく普通の方だった。顔見知りだし、ショックです。家庭で悩んでいる雰囲気はなかった」と驚いた様子で語った。
現場の市営住宅は、JR博多駅から南東約4・5キロの住宅街にある。