政府の中央防災会議(会長・安倍晋三首相)は31日、南海トラフ巨大地震の「防災対策推進基本計画」の修正に伴い、地震による想定死者数が従来の最大約32万3千人から約3割減の最大約23万1千人となったとする最新の試算を示した。建物の建て替え・改修が進んだほか、津波に対する住民の避難意識の向上などが減少の主な要因とみられる。
今回の基本計画の修正に伴い、政府は建物の耐震化状況のほか、人口変動やライフラインの現状データ、津波への避難意識に関する自治体アンケートなどを踏まえて再計算した。
その結果、全壊や焼失する建物数も、従来想定の最大約238万6千棟から約209万4千棟に減少。人的被害の想定数が減ったことから、生産やサービスなどの経済活動に及ぼす被害額も約44兆7千億円から約36兆2千億円に減少した。一方、建物倒壊による復旧費など直接的な経済被害額は近年の建築資材の高騰などが影響し、従来想定の約169兆5千億円から約171兆6千億円に増えた。